アキラとあきら by 池井戸 潤 ~瑛と彬の戦いと思いきや・・・ 【書評】

書評

池井戸潤さんの小説をまだ一度も読んだことがなくって、一度は読んでみようと思っていたところに、最新小説「アキラとあきら」が出版されていたので読むことにしました。

 

たぶんみなさんはドラマ「半沢直樹」の原作を書いた人が池井戸潤さんだ、という感じでご存知のかたが多いのかなーと思いますけれど、実は私、半沢直樹を見たことがありません。たしか2013年にドラマ放映だったと思うので、3年も経ってようやく池井戸作品に触れることになったのです(^^;)

 

 

「アキラとあきら」のあらすじ

幼いころの君は、どんな音を聴いていた?

幼いころの君は、どんな匂いを嗅いでいた?

 

伊豆の田舎町に住む山崎瑛は、零細工場を営んでいた父の倒産を受け、母と妹とともに夜逃げ同然で磐田の母の実家へ転がり込むことになった。そこで親友ガシャポンらと出会うなど青春時代を磐田で過ごす。

 

一方、日本有数の海運会社 東海郵船の御曹司として過ごす階堂彬は、恵まれた環境で育ちつつも、巨大企業にいるがゆえに、東海郵船の社長である父や叔父たちの確執を見ることになり、その運命を嫌悪していた。しかし、東海郵船を創業した祖父の死により、東海郵船が複数の会社に分離し、父と叔父たちの確執がエスカレートしていく。その状況は、彬が家業を継ぐ方向とは全く別の方向へ向かわせる。

 

やがて二人は、同じ銀行、産業中央銀行に入社しバンカーへの道を歩むことになるが、それぞれに過酷な運命が待ち構えていた。

 

なぜ、自分はここにいるのか?

なぜ、自分は銀行員なのか?

なぜ、人を救おうとするのか?

 

東海郵船と産業中央銀行を舞台に二人のあきらが逆境に立ち向かっていく。

 

 

というストーリーです。二人の「あきら」を小学生の頃から大人になるまでを丁寧に時代をたどって綴られています。

 

 

「アキラとあきら」を読んで思ったこと(感想)

ざっと約700ページくらいあるので、結構すごいボリュームのある小説です。最初は瑛の父が製造業で彬の父は海運業だったので、銀行じゃなくって、別の業界でのお話になるのかなーと思いながら読んでいましたが、二人が就職したのが銀行となった時点で

 

やっぱり銀行のお話になったか~

 

と思ったのが最初の感想です(笑)

 

いや、なにせ半沢直樹が確か銀行のお話だったので、池井戸潤さんのお得意の分野に食い込んでいくんだな-って思いながら読んでいました(もちろん下町ロケットとか銀行以外のお話もあるので、一概にはそう言えないかもですけど)。

 

最初、この本を手にしたときは

 

アキラとあきらが戦うのかな?

 

と勝手なイメージをしていたのですが、戦うのは銀行に入社したすぐの研修時くらいで、小説の後半は二人がある状況に共闘していく話へ向かいます。

 

 

結構、序盤の二人の子供のころの話が長くて、読んでいるときには正直

 

二人がバンカーになってからの話でいいんじゃないの?

 

と思いながら読んでいたんですが、瑛が零細企業の家庭を助けたり、彬が父の死を乗り越えるときに、そして終盤に瑛が上司を説得するときの状況が、二人の子供のころのエピソードに直結していくところがとても面白く感動していくストーリーとなっていました。

 

会社と銀行のお話なので、損益計算書とか、売上げとか、赤字とか、資金繰りとか、稟議とか、たくさん会社の経理的なお話が登場します。いろいろとお金に関する言葉が出てくるので、こまかーいシチュエーションが出ているにもかかわらず(あえて作者は詳細は説明されてはいないのですけど)、不思議と小説になっていところがすごいなーと、全く違う観点で関心しちゃいました。

 

で、この話がなんとドラマ化されるようですね。WOWOWかぁ・・・

 

・・・見れん (T T)

 

ふと思うんですよね。山崎瑛のようなバンカーがすべての銀行員だったら、世の中、少しは良くなるのかもしれません。

 

会社にカネを貸すのではなく、人に貸す

 

ドラマは私は見れませんけど、小説はおもしろい話ですのでぜひ読んでみてはいかがでしょうか(^^)

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