時空建築幻視譚 マホロミ by 冬目 景 【漫画書評】

漫画

時空建築幻視譚 マホロミを手にとって読んで見ました。

なんとなく冬目 景さんの描く女性がきれいだなぁと思ったのと、主人公の男性の視点から丁寧にストーリーを描かれているという風に感じたためです。もちろんストーリーの中身は読んでから知ることになりました。

半年前に亡くなった建築家だった祖父の一軒家に主人公 土神 東也(にわ とうや)が住むところからストーリーが始まります。

建物に入ってドアなどの「ある建物の思い出」に触れると幻が見える能力(古い洋館調査に誘われその洋館のなかにあるドアノブをさわることによって出現した)を持つ土神と、敏感な感覚の持ち主で土神と手を触れるとその幻を明確に家の意識(家の持っている記憶)をいっしょに見ることができる不思議な力をもつ女性 深沢 真百合(ふかざわ まゆり)とのふれあい、土神の祖父と真百合の祖母との関係も交わりつつ、同じ大学で学んでいる仲良しの女性 円海 卯(うつうみ あきら)との3人を軸にストーリーが展開されていきます。

そしてその古い建物(洋館やビルなど)が取り壊される寸前に主人公たちがそこに気がつき、彼らが「その家が持つ願い」を叶えていく、そんな話が続いていきます。

 

家って長年住み慣れてくるといろんな思い出がたくさんできてきますよね。それは住んでいる個人個人によっていいも悪いもたくさんあると思います。その家もいずれは主人が亡くなり空き家となることも多いと思いますけど、そこでいっしょに過ごさない限りは、他人から見たらただの家であって想いを寄せることはないわけです。

 

それがその家に入ったとたんにそういう光景が伝わってくるというのはなんとも不思議な能力ですよね。ファンタジーではありますけど、他人の秘密に触れるというか、知らなかった真実を見るというか・・・、人ってそういうのに興味があるのかもしれません。

 

どんな人にも自分だけが持つ思い出があるのはふつうだと思います。自分だけがわかる思い出、記憶、思い描いていても達成できなかった想い・・・。たくさんの人が過去にさまざまな思い出を持っていてそれをそっと主人公たちは垣間見ていきつつ、でもその人たちがたくましい人生だったり、つつがない人生だったりを歩んで行っているんだということを理解していく・・・そんな不思議なお話がつづきます。

 

あとは、作者の冬目 景さんは近代建築が大好きなんだなぁ、とひしひしと感じとることができる素敵なマンガだと思います。すきなことが伝わってくるのって味があるんですよねぇ。

 

この「マホロミ」は、人の思い出にそっと触れる旅を見せてくれる・・・そんなすてきなマンガです。よかったらみなさんも読んでみてくださいね(^^)

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