ちいさいひと 青葉児童相談所物語 by 夾竹桃 ジン 【漫画書評】

漫画

「ちいさいひと」というマンガを読みました。

新人児童福祉士である主人公 相川健太が児童相談所を舞台としているマンガです。

児童虐待がテーマとなっているのですが、僕はこのようなマンガは他に聞いたことがなく、決して商売を抜きにまじめなテーマをあえて挑んだ小学館の気合いを感じるマンガだと思います。

 

ほとんどのご家庭では幸せな家庭を気づいていらっしゃる方が多いと思いますから、こういう悲しい話はあまりお聞きになったことがあるかたは少ないかもしれません。でも実際にはたくさんの悲しい家庭が存在するのも事実です。

 

僕もときどき近くの児童養護施設に寄付をしにいくことがあり、間接的に施設の方とお話をしたりするかぎりはほとんどの施設はめいいっぱいの状態のように感じます。それだけ、不幸な子供たちが多いのが現在の日本の状況なのではないでしょうか。日本は出生率の低さにも見えますけれど子供に対しての法律や仕組みが諸外国と比べても対策が遅れている、お金を投入しない国だと思います。それだけ、文化的な課題、政治的な課題、家族の課題ととても複雑に絡み合う非常に難しい問題だとも思います。

 

さて、マンガのほうですが、どうしてもマンガですから「絵」がメインになり、親からの壮絶な虐待が協調されがちではあるのですが、実はこのポイントは「親」側に本来は課題があります。もう少しいうと「なぜ親がそのような行動をとるのか?」という根っこの部分です。実はその親も幸せな家庭では育っていないことが多いのです。その不幸の連鎖を断つにはどのようにすればいいのか?というところまで踏み込んでくれるといいなーと思いながら読んでいました。

 

子供のときに受けた心の傷は、無意識にそのまま沈んでいき、大人になった今の考え方に強い影響を残します。だから、本当に幸せな家庭を築くには何が必要かを考えるきっかけになるといいなと思ってこのマンガをご紹介しました。

 

このようなまじめなテーマを取り扱うマンガは少ないです。もし時間があったらぜひみなさんに読んでほしいマンガだと思います。

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